事業内容

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バックグラウンド

現役時代、研究所に勤めていた35年間に、バイオ関連の様々な研究テーマに取り組みました。臨床検査薬の開発などライフサイエンス分野(レッドバイオ)から、バイオレメディエーションや微細藻類による水処理(グリーンバイオ)、メタン発酵や石油増進回収技術などエネルギー分野(ホワイトバイオ)にわたるまで、バイオテクノロージーの応用研究に必要な技術ノウハウを積み上げることができました。

 

 

退職後は、これらの技術蓄積を活用して受託研究を進めております。
当社の使命は、レッドバイト、グリーンバイオ、ホワイトバイオをうまく組み合わせて高付加価値製品のカスケード利用を生む効率の良い研究開発を顧客(委託元)に企画・提案、実行することです。また、必要に応じて製品化プロセスも含めた開発の取り組みを進めます。

 

中にはバイオとは直接に関係ないような案件もありますが、たいていはどこかでバイオ技術が関与してきます。研究結果や成果については、委託元との秘密保持がありますので一般に公表するのは難しいですが、このような研究に取り組む意味合いや事業化の見通しなどについて紹介いたします。

 

また、太陽熱造水器の開発研究については製品化の検討まで行っており、順次発信していきたいと思います。

 

これまでの研究開発受託案件

2019年7月~2021年3月 バイオによる石油増進回収技術の開発(終了)

 一般に、油田から自噴で採取できる原油は埋蔵量の30%程度に過ぎなく、残りの原油は地下の原油貯留槽岩にしみ込んだまま残っています。世界中の残留原油は6.2兆バレルにも上るといわれおり、これは過去150年間に人類が消費した原油の5~6倍に相当します。もし経済的な回収方法が確立されれば、約200年分の原油が資源化されることになります。

 

 

残留原油を回収する方法は石油増進回収技術(EOR)と呼ばれており、さまざまな薬剤を注入するか、微生物を活性化するなどして残留原油を取り出す技術が開発されています。しかしながら、注入薬剤や新たな設備コストがかかることから、EORによる生産原油の価格は高くなる傾向にあります。現時点でのEOR技術には、熱攻法、ガスミシブル攻法、ケミカル攻法、CO2-EOR、微生物攻法など、さまざまな技術が開発されています。これらのEORの評価は、コア掃攻試験と呼ばれる増油効果の評価手法を用いて行いました。

 


また、増油コストの低コスト化の可能性が高いのはMEORであるといわれているので、本研究では、主としてバイオサーファクタント生産菌(BS菌)を活用した微生物攻法をケミカル攻法と適宜組み合わせることにより、安価な新規EOR技術を開発することを目指しました。

 

 世界の石油需給予測においては、新たな大規模油田の開発は今後減少していくと予想され、増加する石油需要に対して安定な石油生産量を確保していくには、枯渇した油田から原油を効率よく回収できる経済的なEOR技術の開発が重要になってくると考えられています。最近、新型コロナウイルスのパンデミックによる世界経済の減速が原油価格の暴落を引き起こしました。このため、今後はますます安価なEOR技術が求められるようになると予測されます。このような背景から、安価なEOR技術の開発は、安定した石油需給体制の構築に大きく貢献するものであり、本研究はその一翼を担うものと考えております。

 

2021年1月~ 太陽熱を利用した造水器の開発(終了、製品化パートナー探索中)

 太陽熱造水器は、太陽エネルギーを利用して水を浄化する装置です。 太陽熱を利用して水を加熱し、蒸発させて凝縮させ、バクテリア、ウイルス、塩分、その他の汚染物質などの不純物を除去した蒸留水を作ります。

 

 

このプロセスは太陽蒸留として知られており、水道水、雨水、川、湖、さらには海水など、さまざまな水源から水を浄化するために使用できます。 太陽熱造水器は携帯型であることが多く、電源が不要で従来の浄水方法が利用できない地域できれいな蒸留水を提供するのに役立ちます。 

 

太陽熱造水器は、日本ではまだ一般的ではないですが、開発の歴史は古く、世界中で様々な製品が開発、販売されています。水を電気で沸騰させて蒸留水を作る家庭用の装置は販売されております。災害時にも役立つものとしては、RO膜を使ったろ過式の飲料水製造器がサバイバル製品として開発され販売されていますが、これらの製品は一般には高価です。

 

本受託研究では、太陽熱造水器を市販の製品を組み合わせることでDIYキットとして一般の人に安く提供できることを目標に開発を進めました。現在、ホームセンターやネット通販で簡単に入手できる材料を使って、ポータブルの太陽熱造水器を安価に作れることがわかりました。

 

 

 

毎日少しずつですが蒸留水を手軽に作れるようになりますと、災害時に向けた生活用水の備えだけではなく普段の生活の中でも、加湿器やアクアリウム、バッテリー液の補充、鼻洗浄、窓ガラスや鏡の洗浄液、ペットの水供給、パソコン冷却システム、スチーマーの補充水、DIYのコスメティック等、色々な場面での利用が考えられ、生活の幅が広がるでしょう。詳しくは太陽熱造水器の開発と製品化のコーナーをご覧ください。